突然の大暴落ニュースを見ると、「もう売ってしまいたい」「損を確定してしまおうか」と焦る人は少なくありません。実際にリーマンショックのように、市場が短期間で半分以下の価格に落ち込むケースもあり、心がざわつくのは当然でしょう。ですが、多くの投資家が悲観に陥る中でも、“長期投資”と“焦らない姿勢”を貫き、後の回復局面で大きく資産を伸ばした事例が存在します。本記事では、大暴落をただの恐怖で終わらせず、「買い時」「チャンス」に変える考え方や具体策を、リーマンショック時の乗り越え方を交えながら解説します
1. 大暴落時の心構え

リーマンショックが発生したのは2008年。アメリカの大手投資銀行が破綻し、その影響が世界中に波及して、株式市場が50%以上も値下がりするという非常事態になりました。当時、多くの投資家が「もう回復は無理だ」「株式市場は終わりだ」と強い不安を抱えたのです。
ところが、その後2~3年ほど経過すると、株価は急ピッチで回復。結果的に、底値付近で投資を続けていた人たちは、その後の反発で大きなリターンを得ました。これは、大暴落が起きても“いずれ相場は回復する”可能性がある、という過去の経験則を教えてくれます。
多くの投資家が悲観に陥る一方で、「この安値はめったにない買い場ではないか」と考えた投資家は、その後の上昇をしっかり享受できました。まさに、暴落時にどう動くかが、長期の資産形成に大きく影響するといえます。
(1) 暴落が「当たり前」に訪れるという認識
じつは、リーマンショックのような大暴落は3~5年に1度は起こるとも言われています。たとえばITバブル崩壊(2000年頃)やチャイナショック(2015年頃)、コロナショック(2020年)などが挙げられます。「大暴落は特別なもの」というより、「定期的に訪れるもの」と考えると、いざ暴落が来たときに過度なパニックを防ぎやすくなります。
体験談:チャイナショックでの心構え
リーマンショックを経験した投資家の中には、2015年のチャイナショックが起きた際も「また暴落が来たな」と落ち着いて対処できた人がいます。すでに一度大暴落の洗礼を受けていたため、「今回も長期で保有すればいずれ回復する」と考え、むしろ買い増しを行なって資産を増やしたのです。

2. 暴落は買い場になる理由

暴落が起こると、株式や投資信託が“企業の本来の価値”以上に売られ、割安になるケースが多く見られます。リーマンショック時にも、大手の金融株やハイテク株が一気に叩き売られ、短期間で極端な値下がりを記録しました。けれども、その水準は長い目で見れば、実力を無視した「売られすぎ」の状態でもあったのです。
実際、当時の底値付近で大胆に買い増しをした投資家の中には、2~3年後には投資資金が倍近くになった例もあります。暴落直後は悲観ムードが強いので、すぐに値上がりしなくとも、未来に向けた成長の芽を仕込めるのが“暴落をチャンスに変える”醍醐味です。
(1) 割安水準で仕込めるタイミング
大暴落がもたらす最大のメリットは、優良銘柄やインデックスを「安値で買える」点です。リーマンショックの最中にアメリカの代表的指標S&P500が大幅に下落した際、一部の長期投資家は「自分のルール」に従って買い増しを決行。結果として、回復相場にうまく乗り、大きなリターンを得ることができました。
体験談:リーマンショック後の買い増し
ある個人投資家は「毎月1万円ずつの積立」をリーマンショック前から始めていました。ショック発生で株価が半分近くまで下がる中でも買い続け、底値付近の時期に多くの口数を取得。回復期に資産が急拡大し、「暴落がむしろ好機だった」と振り返っています。

3. 長期投資のメリット

リーマンショック級の下落を乗り越えるには、“長期投資”が大きな力を発揮します。価格が短期的に激しく上下しても、資本主義が成長を続ける限り、数年~数十年のスパンで見ると相場は回復や上昇を繰り返してきたからです。
リーマンショック後の数年間を見ても、1~2年で相場が戻りきらなくても、5年10年という長い期間を待つ間に、企業の利益成長や経済の復活がじわじわ反映されました。インデックス投資なら、特定の企業リスクに偏らず、広い範囲で成長をとらえるため、心理的にも安定して続けやすい点がメリットです。
(1) 時間分散と複利効果
長期投資の本質的な強みは、時間と複利効果を味方にできることです。たとえば一時的に40~50%も下落したとしても、定期的に買い増しをする「ドルコスト平均法」を続けていれば、下げ局面で多くの口数を買うことになり、回復期に大きく伸ばせます。実際、リーマンショック時に「小さく、でもコツコツ買い増し」していた人ほど、その後の相場上昇で恩恵を受けたといわれます。
機関投資家の視点:年金のリバランス
リーマンショック前後では、一部の年金基金が資産配分の割合を一定に保つ「リバランス戦略」を淡々と実行し、高いリターンを得た例があります。下落時には株式を買い増し、上がりすぎたら債券を買い足す。こうした長期スタンスが、大暴落であっても資産を成長させる秘訣といえます。

4. 狼狽売りを防ぐための具体策

大暴落は避けられない現象ですが、そこで「どう行動するか」で未来が変わります。リーマンショックのように株価が大きく下落したとき、慌てて持ち株を全部売ってしまう“狼狽売り”をすると、その後の回復局面で得られるはずの収益を逃しかねません。以下の3つの対策は、暴落時のメンタル維持と投資効果を高めるうえで重要です。
(1) 小さく始めて値動きに慣れる
いきなり大きな資金を投じると、下落時の損失額も大きくなり、心が耐えられなくなることがあります。特にリーマンショック前に始めた人の中には、最初から大金を投資してしまい、60%近い下落に耐えきれずに投資をやめた例もありました。一方、毎月1万円など少額で積み立てをスタートした人は、「毎月赤字になっても想定の範囲内」と割り切れ、暴落中も継続しやすかったのです。
(2) 資産分散でリスクを抑える
株式100%では、リーマンショック級の暴落が来ると一時的に半分以下になることも珍しくありません。しかし、株・債券・リートなどを組み合わせると、下落率を30%程度に抑えられた事例があります。下げ幅が小さければ、元の水準へ戻るための上昇率も低くて済むため、回復が早まるメリットがあります。
(3) 仲間づくりや情報交換の場を持つ
暴落時ほど、1人で抱え込むと「不安のループ」から抜け出しにくいものです。リーマンショック当時、継続して勉強会やコミュニティに参加していた投資家の多くは、周囲と情報交換をする中で「まだ慌てる段階ではない」「歴史的に見ても回復した例がある」という事実に気づき、売り急ぐのを防げたという声もあります。オンラインのライブやセミナーでも、リアルタイムに質問し合える環境が心強いはずです。

5. まとめ:大暴落をチャンスに変える行動指針

リーマンショックの歴史を振り返ると、一時的には市場全体が深刻な悲観に包まれましたが、その後の回復まで粘り強く資産を保有した人が最終的に大きなリターンを享受したケースが多数ありました。大暴落は怖いものの、定期的に訪れる現象でもあり、慌てずに対応すれば「めったにない買い時」となる可能性があります。
具体的な対策としては、以下の3点が特に重要です。
- 小さく・時間をかけて投資する:値動きに慣れておけば、暴落が起きても動じにくい。
- 資産分散で大きな下げを回避:株式100%よりも、債券などを混ぜてリスクを低減する。
- 仲間や情報交換の場で冷静さを保つ:1人で悩むより、先輩投資家やコミュニティで歴史や事例を学ぶとパニックを防げる。
「暴落 チャンス」「大暴落 買い時」「長期投資 資産形成」「狼狽売り 対策」といったキーワードが示すように、大暴落を成功体験につなげる鍵は、“売り急がず、時間を味方にする”ことです。リーマンショック級の下落がまた訪れるかもしれませんが、過去の教訓を踏まえた行動指針を知っていれば、暴落すらも資産形成の加速に変えられるでしょう。

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