敗者のゲーム「市場と投資の本質」を伝える投資哲学の名著

投資で大切なのは、常にうまくいく“裏ワザ”を探し続けることではありません。むしろ、多くの人がやりがちな“失敗”を避けるシンプルな方法こそがポイントです。たとえば、慌てて株を売ってしまって後悔した経験や、良さそうな投資信託をころころ乗り換えて損をしたことはありませんか? 本記事では『敗者のゲーム』という名著をもとに、失敗を最小限に抑えるインデックス投資や行動経済学の知見を活用して、誰でも長期的な成果を目指せる方法をわかりやすく解説します。あなたの資産形成の不安を解消するヒントを、ここで手に入れてください。

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目次

1. はじめに:『敗者のゲーム』とは

1.1 敗者のゲームが生まれる背景

『敗者のゲーム』は、投資家チャールズ・エリス氏によって書かれた、世界中でロングセラーとなっている投資指南書です。本書の核心メッセージは、短期的に市場を打ち負かそうとする行為こそ「敗者のゲーム」になりがちだという点にあります。ウォール街には市場を上回る運用成績を狙う多数のファンドマネージャーがいますが、実際には多くが市場平均に負けているのが現状です。そこには、金融市場の構造や人間の感情的なバイアスが絡み合った複雑な要因が存在しています。

1.2 プロテニスとアマチュアテニスの違い

本書では“テニス”を例に、投資の勝ち方が説明されています。プロのテニスでは、スーパーショットによる得点が多いのに対し、アマチュアは相手のミスで点が入ることが圧倒的に多いのです。投資も同様に、狙って大きく勝つことより「ミスを最小限にする」戦略の方が成果を高めやすいと述べられています。とくに感情的になって急に売買を繰り返す行為は、大きな損失につながる“ミス”の典型例です。

1.3 投資のゴールは「勝つ」よりも「負けない」

投資を始めるとき、多くの人は「いかに多く儲けるか」を最優先に考えがちです。しかし本書の要点は、まずは「大損しないこと」が最重要だということ。たとえばレバレッジ投資で短期の大勝を狙う人が、市場急落で一気に資産を減らしてしまい、再起に何年もかかるケースがあります。こうしたリスクを避けるためにも、“大きく勝つ”より“絶対に負けない戦略”を取る方が長期的には成果が高いと説いています。

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2. 市場タイミングを狙わないインデックス投資

2.1 市場タイミングを外すリスク

市場の天井や底を正確に見極めることは、プロでも極めて困難です。実際、過去数十年のデータを見ても、市場が大きく上昇する“稲妻の輝く瞬間”と呼ばれる数日を逃してしまうと、最終的なリターンが大幅に下がることが分かっています。つまり、相場が下落したときに売却してしまうと、この上昇のタイミングで保有していられず、機会損失を受けるリスクが高いのです。

2.2 アクティブ運用が難しい理由

アクティブファンドは、個別銘柄を選んで市場平均以上のリターンを狙う手法です。ですが、世界中のファンドマネージャーが同じ情報を駆使して競合している現代では、継続的に市場平均を上回るのはごく一部と言われます。さらに、調子の良いファンドを追いかけて乗り換えると、逆にコストがかさんだり、乗り換えた途端に不調になるパターンも珍しくありません。そうした不確定要素を排し、市場全体に連動するインデックスを保有し続ける方が安定的だと多くのデータが示しています。

2.3 「持ち続ける」ことの大切さ

インデックス投資は、どんなに相場が下落しても途中で売らずに“居続ける”ことが大原則です。市場の暴落局面でも積み立てや保有を継続することで、その後の急回復の恩恵を受けやすくなります。たとえば2020年の混乱期でも底値近辺で売ってしまった人は、その後の急上昇を逃してしまいました。インデックス投資の要は、市場が悪いときほど長期的視点を持ち続けられるかにかかっています。

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3. 債券投資は必要? 投資全体を考える視点

3.1 金利低迷の時代と債券の役割

一般的には年齢が上がるほどリスクを抑えるために債券の割合を増やすとされます。しかし、世界的に金利が低迷している昨今、債券の期待リターンは大きくは望めません。一方、市場暴落時の下落幅を和らげるクッションとして債券を活用する意味は残っています。結局、金利低迷期に債券を組み込むかどうかは、資産全体のバランスとリスク許容度を考慮しながら判断すべきでしょう。

3.2 長期的な視点と資産全体のバランス

著者のチャールズ・エリス氏は、自宅やその他の安全資産をすでに多く保有していることもあり、高齢でありながら株式100%を選択しています。日本にそのまま当てはめることは難しいかもしれませんが、「自分や家族が持っている資産全体で見ると、実はもう十分に安全資産がある」と判断できるケースもあるでしょう。単純に“年齢=債券比率”とせず、総資産の構成や今後の生活設計を含めて最適なバランスを模索することが重要です。

3.3 相続と世代間の資産移転を見すえる考え方

もし自分の資産を子や孫へ引き継ぐことを考えているなら、投資期間はさらに長くなります。自分が使い切らない資産を次世代にバトンタッチできるのであれば、株式を中心に長期で運用するメリットが大きい場合もあります。相続税や不動産価格など、日本独自の要素もありますが、家族で資産をどう生かすかを考えるとき、必ずしも債券を多めにする必要はないという選択肢も出てくるでしょう。

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4. 行動経済学が教える投資家の心理

4.1 感情に左右されない仕組みづくり

投資の世界では、相場の変動に一喜一憂して感情的に動いてしまうと、大きな損失につながりがちです。そこで、有効なのが“自動化”と“分散”です。毎月同額を積み立てる自動化設定をしておけば、高値づかみや安値売りをしにくくなります。さらに、株式だけでなく複数の資産クラスを組み合わせることで、一部が暴落しても全資産が一気にゼロになるリスクを下げられ、心理的にも安定しやすいでしょう。

4.2 バイアスへの対処法

人間には「自分の判断を過信してしまう」「直近の出来事を過大評価する」などのバイアスが存在します。たとえば、最近好調なファンドを“今後も好調だ”と思い込んでしまうトレンドバイアスや、株価が下がると“これから先もずっと下がり続ける”と悲観しすぎる傾向がそうです。こうしたバイアスを自覚するには、投資履歴を記録したり、自分の判断理由をメモしておくと客観視しやすくなります。

4.3 自分自身で資産運用の結果が変わる理由

投資結果は、運用商品そのものの優劣よりも「投資家がどんな行動をとるか」に大きく左右されるといわれます。途中で不安になって売ってしまうと、優良ファンドでもリターンを得られません。逆に、多少コストが高い商品でも、コツコツと続けることでそれなりの成果を得られることもあります。最終的には自分の行動と心理コントロールが成功の鍵であることを、行動経済学は教えてくれます。

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5. まとめ

『敗者のゲーム』は「投資で重要なのは、いかにミスを減らすか」という点をテニスの例にたとえてわかりやすく示してくれる名著です。市場タイミングを狙うのではなく、インデックスを保有し続けることでベストな上昇局面を逃さず、大きな損失を避けるという考え方は、長期投資を目指す方にとって非常に合理的といえます。債券投資も含めたポートフォリオ構築は、個人の資産状況とリスク許容度を総合的に考える必要がありますし、相続など家族単位で視野を広げると選択肢が増えます。加えて、行動経済学が示す“感情の影響”や“バイアス”を意識することで、投資判断のミスをさらに減らすことができます。最終的にはルールを決めて感情に振り回されず、シンプルな戦略を長く継続することが、“敗者のゲーム”に巻き込まれない最大の秘訣です。

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